ニュルンベルク

• ドイツ海軍が建造したライプツィヒ級軽巡洋艦2番艦。ライプツィヒで行われた改良も最初から設計に取り入れられ、船体の延長、艦橋の大型化、対空兵装と砲塔装甲の強化が図られている。また、最初から煙突後方に航空兵装を持ち、水上機型偵察機ハインケル He 60を搭載していた。これは後に姉と共に後継機アラド Ar 196に置き換えられている。要目は全長181.3m、全幅16.4m、排水量6520トン、出力6万馬力、速力32ノット、乗員896名。ちなみにドイツ海軍が建造した最後の軽巡洋艦でもある。

• 1933年度計画の小型巡洋艦Fとして建造が決定。1933年3月16日にドイチェヴェルケのキール造船所に発注され、234番船の仮称を付けられる。そして4000万ライヒスマルクの建造費を投じて11月4日に起工。1934年12月6日に進水し、1935年11月2日に竣工した。1936年3月に各種公試が完了。戦闘艦隊に編入され、バルト海で訓練に従事する。4月にライプツィヒやケルンとともに大西洋に進出し、初めての外洋航行を実施した。
• 1936年7月17日にスペイン内戦が勃発。劣勢に立たされた国粋派のフランコ将軍の支援要請を受け、ドイッチュラント率いるドイツ艦隊とともに沿岸に派遣。難民の避難や共和国艦隊の監視を担った。共和派の都市であるバレンシアに砲撃を加え、基地施設に大きな打撃を与えている。1937年7月16日、バレアレス諸島沖で国籍不明の潜水艦から雷撃を受ける。命中こそしなかったが、ヒトラー総統を怒らせた。ともあれ本格的な戦闘は生起せず、戦況も国粋派優位に進んでいたため帰国。1938年1月から3月にかけてバルト海で訓練を行った。入渠整備を経て、6月にノルウェー方面に航海している。航海から戻ってきたのも束の間、8月にヒトラー総統とハンガリー摂政ミクロス・ホルティが列席する観艦式に参加。1939年3月、シュヴィーネミュンデを出港。ドイッチュラント率いる艦隊に加わり、メーメル返還の記念式典に参加。
  　
• 1939年9月1日、ドイツ軍はポーランドへの侵攻を開始。ニュルンベルクは海上封鎖部隊として参加し、脱出しようとするポーランド艦艇を撃沈するため北海に機雷を敷設した。これはあまり成功したとは言えず、数隻の駆逐艦や潜水艦が脱出に成功してしまっている。9月3日、他の巡洋艦とともに北海に移動し、ドイツ本国を防御するための機雷を敷設して回った。10月6日、スカゲラク海峡で敵潜水艦シーウルフから雷撃されるも、回避に成功。帰投したあとはバルト海で訓練。11月、北海で機雷敷設任務を行う駆逐艦5隻の支援をケルンやライプツィヒとともに実施。12月3日と4日にかけてノルウェーのクリスチャンサン沖で機雷を敷設した。しかし12月13日、敵潜シャーモンの襲撃を受ける。扇状に放たれた魚雷のうち、2本がニュルンベルクに伸びてきた。1本目は艦首の先を通過したが、2本目が艦首に直撃。速力12ノットに低下してしまう。息つく間も無く3本の魚雷が伸びてきて、絶体絶命の窮地に陥る。が、ニュルンベルクは全速力で回避運動を行い、その際に生じた航跡で魚雷は早爆。衝撃波で僅かな損傷が生じたが、沈没に至るほどの被害は無かった。撃沈は免れたが、これが後の古傷となって大戦が終わるまで響き続けるのだった。13時40分、護衛の駆逐艦3隻と合流。18ノットでキールに後退しようとした。-12月14日、第99飛行隊所属のウェリントン爆撃機20機が襲い掛かってきた。だがドイツ空軍の応援が間に合い、6機の爆撃機を撃墜して
  追い散らした。イギリス軍は再度ニュルンベルクへの攻撃を企んだが、その前にキールへ逃げ込めた。
  　
• 修理には6ヶ月を要した。この時、魚雷発射管2基とカタパルトを撤去して機銃を増設している。1940年5月に修理完了し、6月10日に魚雷艇2隻を伴ってキールを出発。敵潜水艦の警戒して27ノットのジグザク航法を行った。トロンヘイム沖で護衛を第2掃海艇隊と交代し、第3山岳師団を乗せた輸送船を護送。ニュルンベルクのアラド Ar 196が英潜水艦を発見したが、逃げられている。幸い敵襲は無く、6月17日に無事ナルヴィクへと送り届けた。7月25日、イギリス軍の執拗な爆撃を受けて損傷したグナイゼナウと合流し、トロンヘイムを出港。28日にキールへ到着した。以降はバルト海に留まった。9月、イタリア海軍のマヴァジーニ提督がゴーテンハーフェンに停泊中のニュルンベルクに来訪している。
  　
• 1941年2月15日、バルト海でUボート乗員を養成する練習艦となる。3月に光学測距器を撤去し、FuMO21レーダーを搭載。6月22日に独ソ戦が勃発すると、戦艦ティルピッツとともにバルト海艦隊に編入。バルチック艦隊の出撃に備えたが、敵は艦隊を出撃させなかったため解隊となり再び練習艦任務に戻った。9月23日、タリンに潜むソ連艦隊撃滅のため戦艦ティルピッツ、軽巡ケルン、駆逐艦Z25、Z26、Z27、水雷艇4隻とともに出撃。しかしソ連艦隊は精強なルフトヴァッフェことドイツ空軍によって蹴散らされたため、海軍の出番は無かった。バルト海は平穏だったが、時折連合軍の爆撃機が飛来してニュルンベルクを傷つけた。おかげで1942年8月23日まで修理を強いられた。10月に公試を行い、戦闘準備を整える。11月11日、ゴーテンハーフェンを出撃してトロンヘイムへ移動。12月2日にナルヴィク郊外のボーゲン湾に回航された。ここにはティルピッツやリュッツォウ（元ドイッチュラント）といった有力艦艇が集結しており、敵イギリス本国艦隊の動きを制限していた。

• 1943年4月27日、ナルヴィクを出港。トロンヘイムを経由してドイツ本国を目指したが、道中でイギリスの魚雷艇2隻が出現して交戦。被害は出ず、5月3日にキールへ入港した。ここで機械のオーバーホールを受け、練習艦に変更。乗組員が頻繁に入れ替わったため、錬度は低かった。シャーモンに付けられた一生傷が響き、前線に出る事すら許されず、ひたすらバルト海で訓練をし続けた。1944年7月に東部戦線が崩壊し、生き残っていた大型艦艇が砲撃支援に駆り出される状況においても、ニュルンベルクに出番は回ってこなかった。
  　
• 1945年1月、ようやくスカゲラク海峡の機雷敷設任務が与えられた。既にドイツ本国は東西を敵軍に挟まれ窮地に陥っていたため、ノルウェーのオスロに移動。1月13日、駆逐艦2隻、魚雷艇2隻、機雷敷設艦1隻とともに出撃。ニュルンベルク自身も130個の機雷を輸送し、スカゲラク海峡に敷設した。だがこれ以上は燃料不足が原因で活動できなかった。1月24日、燃料を求めてコペンハーゲンに回航。しかし合成燃料油270トンしか補給されず、終戦まで動く事すらままならなかった。皮肉にもケルンやアドミラル・ヒッパー、リュッツォウなどの歴戦艦が次々と転覆させられる中、動けないニュルンベルクは海に浮いた状態で生き残った。ちなみにニュルンベルクは生き残った艦の中では最長の艦だった。5月5日の戦闘中止命令が発令された時、デンマークのパルチザンがニュルンベルクを奪取しようと乗り込んできた。これ以上、失ってたまるかと言わんばかりに乗組員は果敢に応戦し、4名の命が失われたもののパルチザンから艦を守り切る。

• 終戦後の5月22日、巡洋艦デヴォンジャーとダイドーがニュルンベルクを拿捕。プリンツ・オイゲン等と共にヴィルヘルムスハーフェンに連行され、ポツダム会談で処遇が決まるまで留まることになる。その間に乗組員500名が捕虜となり、残った250名が操艦を担当する事に。会談の結果、連合国側はニュルンベルクをソビエトに与えるとし、12月19日に正式に押収となった。その日のうちにロシア人が乗り込み、他の艦船と共にラトビアのリバウに連行。調査されたのち、アドミラル・マカロフに改名された。
  1948年には第8艦隊の旗艦になり、1951年に公開された映画「The Unforgettable Year 1919」にてイギリス艦役で銀幕デビューする等、ソ連海軍として精力的に活動する。やがてチャパエフ級巡洋艦が就役したため第一線を退き、1954年にはクロンシュタットを拠点として戦前と同じ訓練艦の仕事に戻った。この頃には対空兵装が殆ど取り外され、代わりにレーダーが積載されていた。1957年2月にボイラーが破損、修理ついでに本格的に練習艦へと改造された。

• 1959年5月に退役し、1961年2月15日に解体された。その最期の仔細は不明。ドイツ海軍の主要軍艦の中では戦歴が長い方どころか最も長生きであり、戦後に活躍した唯一の艦でもある。

末尾の番号が若いほど、古いログになります。

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