清波

• 大日本帝國海軍が建造した夕雲型駆逐艦9番艦。1939年度海軍軍備充実計画にて、甲型一等駆逐艦第123号艦の仮称で建造が決定。1941年10月15日、
  浦賀船渠で起工。1942年6月20日に駆逐艦清波と命名され、8月17日に進水。1943年1月25日に竣工し、舞鶴鎮守府警備艦に編入された。2月25日、
  姉妹艦とともに第2水雷戦隊第31駆逐隊を編成。前進部隊に所属する。
• 2月28日、大波や海風とともに横須賀を出港。特設巡洋艦盤谷丸と西貢丸を護衛し、3月8日にトラック島へ入港。3月10日、内南洋部隊電令作第124号により
  佐世保第7特別陸戦隊を乗せた盤谷丸と西貢丸のタラワ回航を命じられ、同月12日に出発。大波とともに2隻を護衛した。3月20日タラワ着。
  翌21日に船団と分離し、3月22日にクェゼリンへ入港。常盤の掌機雷兵を収容し、3月25日にトラック島へ戻った。
• 4月9日、一時的に第4根拠地隊の指揮下に入る。4月11日、トラック北水道で伊16潜が3回の雷撃を受ける。急遽清波が派遣され、敵潜水艦を捜索。
  19時20分に発見し、攻撃を仕掛けている。5月10日に前進部隊へと戻った。5月16日、ラバウル行きの船団を護衛してトラック島を出発。道中何事もなく
  ラバウルに到着し、5月22日にトラックまで帰投した。6月6日、内地に帰投する空母雲鷹と冲鷹を護衛して出港。無事横須賀に入港した。
  6月11日午前7時5分、大海機密第031459号番電により雲鷹、冲鷹とともに輸送任務に参加。雲鷹艦長の指揮下に編入される。

• 6月16日、トラック島に進出する金剛、榛名、龍鳳、冲鷹、雲鷹、鈴谷、熊野を五十鈴、時雨、雪風、浜風、江風、谷風、新月、漣、曙、潮とともに護衛。
  6月21日、トラック入港直前に待ち伏せていた米潜水艦スピアフィッシュに襲撃され、龍鳳が雷撃されるも魚雷は命中せず。その日のうちに
  トラック泊地へと逃げ込めた。7月7日、連合艦隊司令長官の命令で神通と清波は南東方面艦隊に編入。これに伴ってラバウルに進出する事になり、
  7月9日に神通とともにトラック出港。7月11日にラバウルへ入港した。
• 防衛線をコロンバンガラ島へ下げた帝國陸海軍は、同島への増援として陸兵1200名と弾薬20トンを輸送する事にした。クラ湾夜戦で第3水雷戦隊司令が
  戦死してしまったので、指揮は第2水雷戦隊司令の伊崎俊二少将が執る事になった。清波は旗艦神通に率いられ、雪風、浜風、三日月、夕暮と
  警戒隊を編成。輸送隊は駆逐艦皐月、水無月、夕凪、松風で編成された。
  　
• 7月12日午前3時30分、神通等とともにラバウルを出港。輸送隊は18時40分にブインを出港し、両隊は合流。敵が支配する魔の海を渡る。敵軍は島の沿岸に
  監視員を配置しており、輸送部隊の動きはすぐに敵に知られる所になる。潤沢な戦力を持つ敵は、ツラギ方面で遊弋していた軽巡洋艦3隻と駆逐艦10隻からなる
  第36.1任務部隊を刺客として送り込んできた。圧倒的優勢な敵が手ぐすね引いて待ち構えているとは知らずに、清波たちは南下を続ける。
• 先導艦三日月が先頭に立ち、単縦陣を組んで南下していた輸送部隊。23時、雪風が敵艦隊のレーダーを逆探知し、伊崎少将は「戦闘配置」を下令。
  対する敵第36.1任務部隊も日本艦隊を捕捉し、両艦隊はぐんぐんと距離を縮めていく。敵は数に物を言わせた一斉射撃を加え、一気に殲滅する事を
  頭の中で思い描いていた。日本艦隊にはレーダーが無いので、一度統率を奪ってしまえば楽に各個撃破できる。しかも倍以上の戦力を持っているのだから
  負けるはずがなかった。自信と余裕を胸に、敵は突っ込んできた。
• 23時8分、神通が敵艦隊を発見。敵に位置を察知されるのを承知で勇敢にも探照灯を照射し、後続の僚艦に敵前衛駆逐艦の位置を指し示した。
  5分後、距離6000mで砲撃戦開始。神通4本、三日月3本、雪風、浜風、清波が8本、夕暮が5本、計36本の魚雷を一斉に射出。一撃必殺の酸素魚雷が
  敵艦隊を刺し貫いた。ニュージーランド軽巡レアンダーに命中弾が確認された。探照灯を照射していた神通が敵の攻撃を一手に引き受け、清波たちは
  一旦離脱。次弾装填装置で魚雷を装填し、再び戦場に舞い戻った。
• 翌13日午前午前0時5分、距離4000mで再度雷撃を行った。清波は8本の魚雷を発射し、計26本の魚雷が群れる敵艦に襲い掛かった。この魂の一撃により
  敵駆逐艦グイン撃沈、ホノルルとセントルイスを大破に追いやる大戦果を叩き出した。混乱した敵は統率が乱れ、駆逐艦ウッドワースとビューカナンが
  衝突・大破している。輸送隊は戦闘を回避して泊地に突入、見事揚陸を完了させた。午前0時30分に清波たちは離脱。まさかの大敗北を喫した敵艦隊は
  戦意を喪失し、追撃命令が出ているにも関わらず命令を無視した。鬼神のごとき強さを見せたものの、残念ながら神通を失ってしまった。
  午前5時15分にブインへ入港。勝利を収めた。日本側は敵巡洋艦2隻撃沈、同2隻炎上を報じた。
  　
• 数次に渡る夜戦やコロンバンガラ島沖海戦の勝利により、敵の兵力は9隻(巡洋艦3隻、駆逐艦6隻)程度に減じていると大本営は判断。第7戦隊を増援に得た
  外南洋部隊はクラ湾方面に出撃し、輸送を阻んできた憎き敵水上部隊の撃滅を図った。主力に重巡洋艦鈴谷、熊野、鳥海を据え、駆逐艦雪風、浜風、
  清波、夕暮、三日月、松風、水無月で殴り込みと輸送を企図した。攻撃予定日は7月17日夜に定められた。
• 7月16日22時に夜戦部隊はラバウルを出撃。敵を求めて勇躍東進したが、翌17日朝にブイン方面が大空襲を受けた。大型機19機、戦爆連合約150機の
  襲来により、駆逐艦1隻が沈没。3隻が中破する打撃を受けた。敵航空兵力の増大を受け、南東方面艦隊は作戦を中止。ラバウル帰投を命じた。
• 一度は中止になった殴り込み作戦だったが、7月18日に再度決行。艦隊は同日夜にラバウルを出撃した。翌19日夕刻、ブインから出撃してきた輸送隊と
  合同し、21時に輸送隊と分離した。夜戦部隊はクラ湾北方まで進出し、敵を求めたが会敵せず。帰路についたが、そこへ敵の魔手が伸びる。
  　
• 7月20日午前0時34分、チョイセル島沖でヘンダーソン飛行場から飛び立った無数の敵機に襲撃される。この攻撃で夕暮が沈没。生存者を救助するため
  夜戦部隊から分離したが、以後消息不明になる。敵側の記録によると、沈没地点に到着した清波は救助活動を行い、午前1時10分に夕暮の生存者238名を
  救助したと電報を打った。しかしコロンバンガラ島北北西で敵機に襲われ、魚雷を喰らって沈没。乗組員230名と救助者238名が全員死亡する最悪の結末を
  迎えた。1名のみ助かったようだが、詳細不明。こうして半年にも満たない短い艦歴を閉じた。護衛対象の輸送隊が無事揚陸に成功した事が唯一の慰みだった。
  1943年10月15日、除籍。

末尾の番号が若いほど、古いログになります。

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