表面硬化装甲は浸炭部の超硬化層と硬化層で砲弾を破砕し、貫徹力の落ちた砲弾を裏面の柔軟性に富む層で受け止める。
しかし、最表層の超硬化層部分数ミリは非常に固いが割れやすい。
この僅かな割れがミソで、身近な例で言えばふりかけの切込みと同じ働きをする。
装甲の厚みよりも十分大きな口径の砲弾を受けると、この割れが衝撃的に裏面まで伝播し
本来割れないはずの裏面まで応力集中して割れてしまう。
大和級戦艦のVH装甲鋼板は、表面浸炭処理を止め製造時間を短く、加工費も大幅に安くし
日本の装甲製造能力の限界に挑むような大量の装甲板を製造することを可能にした。
VC装甲鋼板の史実欄でも述べられているが、浸炭処理を省くと性能が落ちるように感じるが
性能は落ちておらず、VC鋼と同等以上となっている。
設計に携わっていた人の著書によると、厚み当たりの性能が下がるなら分厚い装甲を付ける意味が無い。
VH装甲鋼板は超硬化層の代わりに、硬化層の占める割合を大きくすることで砲弾の破砕を行う方式となっている。
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