千歳の詳細・評価・オススメ装備 - アズールレーン(アズレン)攻略 Wiki

基本情報 †

プロフィール
	名前	千歳 IJN Chitose
	レアリティ	SR
	艦種	軽空母
	陣営	重桜
	建造時間	02:15:00
	CV	関根瞳
	イラスト	yuui(ゆうい)
	耐久	C	火力	E
	雷装	E	回避	C
	対空	B	航空	A
	速力	29
	SD	[添付]
自己紹介
水上機母艦として設計された私と千代田、かの大戦での、あの戦闘を経て仲間たちと共に空母に改造された。 …実力不足か、はたまた時の流れに逆らえないためか…活躍できなかったわ。色々とね
入手方法
期間限定建造(2020/09/17～2020/10/01)

ステータス(MIN/MAX)
耐久	727	装甲	中装甲	装填	68
火力	0	雷装	0	回避	20
対空	49	航空	65	消費	3
対潜	22
運	57

装備枠	初期装備	補正(MIN/MAX)	最大数*1
戦闘機	零戦21型T1	115%/%	3
攻撃機	九七式艦攻T1	135%/%	3
対空	-	80%/80%	1
設備	-	-	-
設備	-	-	-

スキル名		効果
	攻撃隊、絡み付け…！	戦闘中、自身の1回目の航空攻撃を行う際、水上機による特殊航空攻撃を行うLv.1(MAXLv.10); 自身の2回目以降の航空攻撃を行う際、40.0%(MAX70.0%)で雷撃機による特殊航空攻撃を行う(威力はスキルレベルによる・戦闘開始時所属艦隊に他の重桜軽空母がいる場合、自身の特殊航空攻撃が強化される)
	制空支援	自身の航空攻撃後、8秒間自身以外の航空母艦の航空値が5.0%(MAX15.0%)アップ

上限突破
初段	攻撃機数+1/戦闘機補正+5%
二段	攻撃隊上限+1/戦闘機数+1/戦闘機補正+10%
三段	艦載機数+1/攻撃機補正+10%

特殊航空攻撃スキル(水上機)	特殊航空攻撃スキル(雷撃機)
[添付]	[添付]

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MAXステータス †

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着せ替え †

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着せ替え後(夏陽燦々千歳)ボイス †

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ボイス †

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▼好感度系
入手時	重桜所属、軽空母千歳。指揮官、よろしく。千代田もここにいると聞いているけど、本当？……いいえ、ただ聞いてみただけ
ログイン	あ、来た。千代田が差し入れてくれた羊羹が机の上にあるわ。もらってあげて
詳細確認	千代田とは一応、神社勤めの仲間。千代田、ああいう感じでうるさいけど、楽しいときもあるわ
メイン1	五十鈴…ちょっと怖がり屋だけど、いい子。その怖がりなところも可愛いわ
メイン2	この髪型、千代田がどうしてもっていつも彼女がやってくれる。ちょっとだけ…申し訳ない気持ち
メイン3	神楽の舞は、まあまあ得意。機会があったら、見に来て
タッチ	！？…指揮官か…ユニオンのピンク髪の子の、いたずらだと思った
タッチ2	！？ちょっと、ダメ…！
タッチ3	千代田と同じく、髪に触れるのが好き？
任務	任務。こなさないまま放置、まずいのでは？
任務完了	任務。完了…うん、喜ばしいわ
メール	指揮官宛の手紙あり。査収を
母港帰還	無事だったね。…お守りは私の手作り。指揮官と千代田の分、服にコッソリと
委託完了	委託組、無事帰還。よかった
強化成功	ひとまず、感謝。指揮官
戦闘開始	まずは、慎重に…
勝利	皆の役に立つこと……私にもできた
失敗	後退する。…千代田、無事でいて…
スキル	攻撃隊、絡みつけ…！
損傷大	まずい…千代田…大丈夫かな…
失望	指揮官、千代田から離れていて。できるだけ遠く
知り合い	「囮機動部隊」……もう一度起きてほしくない
友好	甘えてくる妹は…なんというか、嫌ではない……なんといえばいいかな…
好き	料理や掃除、身の回りのお世話はいつも千代田がやっている。 ……つまり、私はできないのではなく、やろうと思えば…そ、それだけのこと……
ラブ	指揮官、私に甘えてみない？……こう見えても、甘えられ上手というか……例えば膝枕、とか…されてみたいとか、ない？
ケッコン	あなたの気持ちだから、喜んで……これから毎日、無事を祈りながら、あなたの居場所になる。あなたも…千代田のように、時々、甘えてきて…？
▼特定編成時台詞
千代田と出撃	わ、わかったわよ…一緒にね
サラトガと出撃	ち、千歳ちゃんって…
五十鈴と出撃	私がいるわ。怖がらないで

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ゲームにおいて †

2020年9月中旬開催のイベント「刹那觀る胡蝶の夢」にて実装された重桜所属の軽空母。
期間限定建造から入手する事が出来る。

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性能 †

ゲームにおいての役割、使い勝手などの評価をレビューする項目

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スキル †

「」

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オススメ装備 †

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主砲 †

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副砲・魚雷 †

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対空 †

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設備 †

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オススメ編成 †

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主力 †

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前衛 †

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キャラクター †

重桜所属の瑞鳳型空母姉妹。
ポンコツクールの姉・千歳、やや調子に乗りやすい妹・千代田。
妹思いの姉と、姉に甘えまくる妹…ちょっとだけシスコン気味？
(公式Twitter紹介)

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元ネタ †

大日本帝国海軍が建造した瑞鳳型航空母艦千歳。
元は水上機母艦として建造されたが、有事にはすぐに軽空母へ改造できる事を念頭に設計されていた。
- 実際は秘密兵器である甲標的を運用するための母艦であったが、カモフラージュの為に水上機母艦としての機能を追加された形である。
当時の海軍においては瑞鳳型航空母艦に分類されるが、これは同じような設計思想を持つ改造空母の瑞鳳、龍鳳、千歳、千代田を一纏めにしたもので、それぞれは厳密には準同型艦と呼べる程度には違っていた。
- 戦後の出版物では千歳型水上機母艦から改造された空母をそのまま千歳型航空母艦と呼んでいる物もある。
- なお、瑞鳳の同型艦である祥鳳が分類されていないのは、再分類時にはすでに戦没してしまっていたためである。

長すぎる戦歴

水上機母艦時代はこちら

大日本帝國海軍が建造した千歳型水上機母艦1番艦。のちに改装され、千歳型航空母艦となる。千歳とは、千年を意味する縁起の良い言葉である。
　
ロンドン海軍軍縮条約で米英に対し不利な制約を強いられた大日本帝國は、質の向上で無数の敵に対抗しようと考えた。千歳型水上機母艦は
その一環で生み出された。今まで帝國海軍は別の艦を改造した即席の特設水上機母艦しか持っていなかったが、千歳型は最初から水上機母艦として
設計された軍艦であった。ゆえにその完成度は高く、搭載能力も格段に向上しているなど一つの極致と言えるだろう。
第一状態では通常通り水上機24機を搭載するが、有事に備えた第二状態では搭載機を半減して秘密兵器「甲標的」を搭載。
特殊潜航艇母艦として運用する予定だった。日米艦隊決戦の際は敵艦隊の進路上に進出し、20ノットの高速で航行しながら甲標的を連続発進させ、
敵主力を迎撃するのが主任務である。また高速給油艦や空母への改装も視野に入れられており、まさに七変化が可能な先進的軍艦であった。
艦型は平甲板型で、友鶴事件の反省から両舷にバルジを設置して復元性を確保。艦尾はクルーザー・スターンを採用した。船体中央両舷と後甲板に
呉式二号五型射出機があり、後甲板に起動式デリックを装備。船体中央に他機種航空機用の約40mの飛行甲板を試験的に装備しており、実際に
使用する機会があれば100mに延伸する計画だったが、不使用に終わった。この飛行甲板は機銃甲板として使用された。
- 要目は排水量1万1023トン、全長192.5m、全幅20.8m、喫水7.21m、出力5万7160馬力、速力28.9ノット、航続距離は18ノットで1万1000海里。
  艦載機は九五式二座水上偵察機及び九四式三座水上偵察機24機、補用4機で、呉式二号五型射出機4基を保有。武装は12.7cm連装高角砲4基、
  25mm連装高角砲6基を装備している。

1934年11月19日に軍艦千歳と命名され、11月26日に呉工廠で起工。1936年11月29日に進水式を挙行。松永海軍大臣が列席した。1937年7月23日に
艦内神社を福岡県久留米市の水天宮に決定。1938年7月1日に水天宮から分祀して艦内神社とした。そして7月25日に竣工。佐世保鎮守府に編入される。
10月、約1900名の有志の方々が軍艦千歳会を発足させ、会長には久留米市長が就任。蓄音機、レコード、絵葉書、軍艦旗などが多数献納された。
千歳の最初の任務は、広東省杭州湾への上陸支援であった。まだ空母の数が揃っていない事もあり、水上機母艦の存在は非常に大きかった。
1938年10月1日、杭州湾の近隣にある湾山群島に進出。10月12日から翌月にかけて後詰めの第18軍を無事送り込み、抜群の働きを見せて華南方面の国民党軍を締め上げた。
1939年11月15日、水上機母艦神威、特設水上機母艦衣笠丸、第三〇駆逐隊と組んで第4艦隊隷下に第17戦隊を新編。千歳はその旗艦となった。
12月、衣笠丸とともに横浜航空隊(九七式飛行艇24機)をトラック島に輸送し、水上機基地の設営に協力した。1940年10月11日、紀元2600年記念観艦式に参列。
その後、佐世保に回航されて甲標的母艦への改装が始まった。甲標的は決戦兵器だったため軍機に付され、その母艦が千歳型である事も伏せられた。

1941年4月10日、第11航空戦隊に所属。相方に改千歳型水母瑞穂を据えた。対米英戦争が避けられなくなった11月23日、呉軍港を出発。
寺島水道で集結したのち、11月27日に出発。12月2日にパラオへ入港し、第五戦隊や第四航空戦隊とともに南比支援隊を編成。
フィリピン攻略作戦の準備を始めた。
　
そして1941年12月8日、大東亜戦争が勃発。午前9時に木村支隊を乗せた輸送船4隻や第4急襲隊とともにパラオを出撃した。千歳と瑞穂は哨戒機を放ち、
船団を上空から援護。道中に敵潜水艦を探知したため、攻撃を加えている。12月11日23時50分、攻略目標のレガスビー泊地に入港。木村支隊の上陸を支援した。
アメリカ軍の抵抗は微弱で、戦闘機1機が襲来しただけだった。瞬く間にレガスビーは占領され、飛行場に第23航空戦隊の戦闘機9機が進出した。
12月14日、泊地と飛行場を爆撃しに来たB-17爆撃機と交戦。次に千歳は、17日13時に奄美大島を出発した第16師団の船団を援護。上陸地点のラモン湾まで導いた。
次なる任務はダバオ及びホロ島の攻略支援だった。飛行場を有する両拠点を占領して航空隊を進出させ、本命の蘭印作戦に備える狙いがあった。
坂口支隊上陸の前日である12月19日にダバオ東方から艦載機を発進させ、偵察。その情報を基に龍驤搭載機が爆撃を加えている。翌20日午前4時40分、
坂口支隊と三浦支隊が上陸。千歳は攻略部隊の北側を西航し、艦載機で上陸戦闘を支援。市街地と飛行場の占領に成功した夕刻には水上機基地を設営し、
さっそくミンダナオ基地の偵察を開始するなど八面六臂の活躍を見せた。ダバオは日本の手中に収まり、監禁されていた現地の邦人2万3000人を保護した。
ホロ島攻略ではほぼ船団と行動をともにし、上空から艦載機で援護。上陸後も航空艦隊の飛行機が進出する26日まで献身的に援護を引き受けた。
連戦に次ぐ連戦を終えた千歳は帰路につき、12月29日にパラオへ入港。つかの間の休息を得た。
　
1942年1月2日、ダバオを出港してマララグ湾にて停泊。4日、ジャワ島より飛来したB-17爆撃機5機がマララグ湾を襲撃し、損傷する。
1月11日、セレベス島ケマへの上陸支援に参加。この時、千歳所属の甲木清実飛曹長の機がオランダ軍第17観測飛行隊所属のPBYカタリナ飛行艇を
撃墜する戦果を挙げている。1月21日、バンカ泊地を出撃。東部ジャワに航空攻撃が出来る要地ケンダリーの攻略支援に加わった。同月24日、攻略部隊が
上陸を開始。千歳と瑞穂はケンダリー北方のサラバンカ水道に進出し、航空支援を以って攻略部隊を援護。26日に瑞穂を残して移動し、セラムに寄港後
アンボン攻略作戦に参加。1月29日、バンカ泊地を出発して輸送船6隻からなる第二悌団と歩調を合わせた。31日に攻略部隊が上陸を開始し、これを支援。
アンボンも制圧された。
2月6日、瑞穂とともにスターリング湾を出発してマカッサル攻略に従事。連合軍潜水艦の妨害は受けたものの大した被害は無く、2月9日に無事占領。
休む間もなく、千歳は第48師団護衛のためホロ島に向かった。ところが道中の翌10日、マカッサル海峡でLB30リベレーターⅡ爆撃機3機から攻撃を受け、
損傷。幸いにして致命傷ではなかった。2月14日、東部ジャワの重要拠点スラバヤを攻撃する第48師団を援護。しかし連合軍艦隊の根拠地だけあって
スラバヤは非常に強固であった。2月22日から24日にかけて再度攻撃を加えたが、ビクともしなかった。そうこうしているうちに西部ジャワの攻略船団が
上陸地点に接近したため、千歳もそちらの支援に回される事になった。
2月28日、陸軍の輸送船56隻から、バンタム湾に上陸を開始。これを瑞穂や龍驤と支援した。3月1日午後12時30分、スラバヤ沖海戦から敗走中の
米駆逐艦ポープを発見。15時、瑞穂搭載機とともに爆撃を仕掛け、重油を流出させる損傷を負わせた。その後、ポープは龍驤艦載機の攻撃で航行不能になり、
重巡足柄と妙高、駆逐艦雷と曙から集中砲火を浴びて粉砕された。そして3月9日、ジャワ島のオランダ軍が降伏。蘭印作戦は成功に終わった。
だが千歳に休暇は与えられなかった。オーストラリア軍が支配する西部ニューギニアの攻略支援を命じられ、3月24日にアンボンへ入港。
軽巡鬼怒ともどもN攻略部隊の主力に据えられ、駆逐艦雪風、時津風、水雷艇友鶴、初雁、哨戒艇群を率いた。
3月29日深夜、千歳率いる大小15隻の艦艇がアンボイナ港を出港。ニューギニアへの初の敵前上陸である事、しっかりとした海図が無い事、
未開の人食い部族がいるという噂が流れていた事から攻略期間は1ヶ月と長めに取られた。

4月1日よりファク・ファク、バボ、ソロン、ハルマヘラ島、首都マノクワリ島、ジャペン島、ナビル、サルミ、ワクデ、ホーランディアを次々に占領。
現地の連合軍を掃討し、西部ニューギニアを勢力下に収める事に成功した。作戦後マクノワリに集結し、4月23日にN攻略部隊の編成は解かれた。
ここでようやく本土への帰投が命じられた。5月1日に佐世保へ入港し、9日から16日にかけて整備。この間に相方の瑞穂が撃沈されてしまったため、
第11航空戦隊の旗艦を継承。特設水上機母艦神川丸が新たに編入された。
5月21日、ミッドウェー作戦の攻略部隊航空隊に編入され、呉を出港。28日18時にサイパン島へ入港し、補給を受ける。そして君川丸を率いて出港し、
作戦海域へと向かった。攻略部隊の防空及び対潜はひとえに第11航空戦隊の双肩にかかっており、責任は重大であった。6月4日までは船団と一緒に
行動していたが、それからは先行してキューア島の攻略に従事。攻略した暁には水上機基地を設置する予定となっていた。しかし6月6日に機動部隊が壊滅する一大椿事に見舞われたため、作戦中止。
撤退しなければならなくなったが、作戦部隊の主力隊、第二水雷戦隊主力、支援隊、攻略部隊がミッドウェー海域に広く散開しており、そして既に
我が方には航空兵力がほぼ無い。敵の支配する魔の海域から無事離脱する事が出来るのだろうか。
千歳がいる攻略部隊は作戦中止の命令を受け、6月6日午前3時頃に西方への退避を開始した。とにかく敵機の哨戒圏から脱出するのが先決だった。
昼頃にはミッドウェー島から600海里の地点を西進。哨戒圏からは脱した。しかし敵空母は攻略船団の位置から約360海里の地点におり、その動向から
追撃を企てているのは明らかだった。もし全速で追撃されたら8日には約70海里から空襲を受ける危険性が生じる。そうなれば死は免れない。
千歳の水上機では到底太刀打ち出来るはずがないからだ。生き残るためにも、南鳥島の味方制空圏に一刻も早く逃げ込む必要があった。幸か不幸か、
一番遅れていた最上と三隈が敵機を釣り上げ、攻略船団は助かった。その代わり2隻は無残に食い散らかされ、最上は大破。三隈は
非業の死を遂げた。6月8日20時30分、千歳と駆逐艦早潮は瀬戸内海西部への帰投を命じられ、翌9日正午に船団から分離。6月14日に柱島泊地へ入港した。
　
ミッドウェーの敗戦は、千歳の運命を大きく変える事となった。6月20日と21日に連合艦隊旗艦大和の艦上で、航空母艦改良研究会が開催された。
その結論を取り入れつつ、軍令部と海軍部の関係者は五昼夜に渡る不眠不休の努力で空母増産計画を策定。嶋田海軍大臣の決裁を得て、
実行に移される運びとなった。空母不足を補うべく、千歳型も空母化が決定。1943年度中に改装工事を終えられるよう、積極的にその工事を推進する事が確約された。
しかしながらすぐには改装工事は行われなかった。8月7日に、アメリカ軍が大挙してガダルカナル島に襲来したためである*2。
千歳もソロモン方面へ送られる事になり、翌9日に佐世保を出港。横須賀に回航され、旗艦愛宕が率いる第二艦隊とともに前進拠点のトラック島へ進出。現地で
駆逐艦夏雲を第11航空戦隊に編入した。8月20日、ガダルカナル島南東で空母を含む敵艦隊が発見され、トラック在泊の第二艦隊とともに千歳も出撃。
8月24日、第二次ソロモン海戦に参加する。前衛部隊に配置され、第六戦隊に護衛されながら敵の位置を探る艦隊の目の役割を担った。
無限の物量を持つ敵は午前と午後に何度も攻撃を仕掛けてきており、ガ島南端付近で敵サラトガ艦載機の至近弾を受け、千歳にも若干の被害が発生。
駆逐艦峯雲に護衛されながらトラック島へと退避し、28日に入港。9月20日まで修理を受けた。また水上機をショートランドに派遣している。
- 8月29日、イザベル島レカタを拠点とするR方面航空部隊が新編。千歳、山陽丸、讃岐丸、神川丸が編入されたが、正規の水上機母艦は
  千歳ただ1隻であった。不足気味な空母艦載機に代わり、索敵任務を受け持った。

ガダルカナル島の戦いは、敵が優勢に立っていた。潤沢な物資と兵力を持つ敵アメリカ軍によって飛行場奪還は失敗され、一木支隊や川口支隊は
今や蹂躙されていた。百武晴吉陸軍中将は、精鋭である仙台の第一師団を増援する事に決め、船団護衛に最善を尽くすよう海軍に要求した。
既に水上機母艦日進や、軽巡洋艦川内率いる艦隊が全力輸送を行っていたが、積載能力の不足から一度に増援全てを送り込めた訳ではなかった。
報告を受け取った海軍部は、新たに軽巡龍田と千歳の投入を検討し始めた。
9月25日午前8時30分、第三水雷戦隊は重火器の輸送計画に千歳を投入する事を第八艦隊司令部に報告。ここに、ガダルカナル島への輸送任務が決定した。
だが、ガ島周辺には大量の敵艦と航空機が我が物顔で闊歩しており、無策で突っ込めば海底に沈められるのは火を見るより明らかだった。
そこで輸送任務の援護として、旗艦青葉率いる第六戦隊によるルンガ飛行場砲撃が企図された。
10月4日、米第17爆撃隊所属のB-17がショートランドに襲来。1942年1月にカタリナを撃墜した甲木兵曹(昇進)が再び活躍し、彼は零式水上観測機の
主翼でB-17の主翼を切断して撃墜。千歳の艦長より感状を賜っている。
10月11日、輸送計画に基づき、千歳と日進には重火器4門、野砲2門、牽引車4両、弾薬車14両、高射砲1門、固定無線機1基、人員280名の
タサファロング揚陸が命じられた。これらは追い詰められている川口支隊の総攻撃に必要なもので、是が非でも成功させなければならなかった。
護衛には駆逐艦秋月と夏雲がつき、朝雲、綾波、白雲、叢雲が援護に回った。また基地航空隊も支援に回り、心強い味方が目白押しだった。
まず基地航空隊がガ島の敵軍を攻撃し、戦力を殺いだ。
10月11日午前6時、千歳と日進はショートランドを出撃。周囲には駆逐艦が、上空には零戦がガッチリと護衛していた。中央航路を通り、
目的地タサファロングを目指す。前回2回の輸送から見て、敵機襲来は必至と考えられていた。午前8時20分、さっそく敵大型機に発見され、
先行きを暗くする。いつ襲われるか分からない恐怖、そこを歩くという恐怖の中、意外な事に平穏な航海が続いた。実は基地航空隊による
ガ島攻撃が良い具合に効いていたのだ。地獄に仏とはこの事か。輸送隊に次いで、青葉率いる支援隊が出撃した。
20時10分、何ら妨害を受ける事なくタサファロングに到達。揚陸作業を開始する。20時45分、敵機らしきものが泊地上空を通過していった。
21時頃、サボ島の方から戦闘の光らしきものが確認された。一体何事か。日進が支援隊に問い合わせたところ、衣笠から「敵水上部隊と交戦中」と
返ってきた。恐ろしい事に、敵艦隊はタサファロングの近くに潜んでいて支援隊が襲われてしまったのだった(サボ島沖海戦)。幸い、タサファロング方面に
敵影は認めず、揚陸作業は円滑に進んだ。22時50分、揚陸作業完了。帰り道は南方航路を使い、先ほど支援隊が襲われた海域を通過した。
無事輸送任務を成功させた2隻であったが、もはやガ島近海が魔の領域である事は確実だった。サボ島沖海戦により青葉が大破し、古鷹が
撃沈されてしまった。沈没前、古鷹は「多くの敵が残っている」と報告しており、外南洋部隊は輸送隊が襲われるのではないかと危機感を募らせた。
千歳と日進を生還させるため、第六戦隊及び駆逐隊に突撃を命じた。またショートランドからは川内率いる救援部隊が出港。輸送隊との合流を急いだ。
他にも陸攻隊や伊2潜が出撃し、総力を挙げて千歳たちを救助しようとした。午前5時、輸送隊はガ島から約150海里の地点に到達。間もなく日の出である。
明るくなれば、敵機が大挙して襲い掛かってくるのは間違いない。時間は敵の味方している。一刻も早く危険な海域から離脱しなければならない。
しかし予想された敵機の空襲は無く、川内率いる救助部隊と合流。彼らに守られながらショートランドを目指した。ところが駆逐艦叢雲が
敵機の襲撃を受けて遭難したとの報告が入り、川内と駆逐艦2隻が救助のため護衛から離れた。10月12日14時、無事ショートランドに帰投。
命がけの輸送任務はこうして幕を下ろした。
10月19日、千歳所属の零式水上観測機が被弾不時着水した萩原二飛曹機を発見し、救助している。同月27日、ショートランドにて御室山丸から重油719トンの送油を受ける。
11月1日、外南洋部隊電令作第77号により、千歳と日進はトラックへの回航を命じられた。しかし依然ガ島方面の戦況は芳しくなく、すぐに回航とは
いかなかった。ガ島に増援部隊を送り込むため、比叡率いる挺身隊が11月9日に出撃。これを支援するため、翌10日に千歳は索敵機を放った。
11月11日、千歳の水上機がサンクリストバル島南東の南方約20海里に輸送船4隻を含む有力な敵戦艦部隊を発見。貴重な情報をもたらしている。
抜群の働きを見せた千歳はトラック島を出港し、そして11月15日へ佐世保に帰還した。

空母千歳はこっちよ

1943年1月16日(1月28日説や1942年11月説もある)、佐世保工廠に入渠。いよいよ空母への改装が始まった。8月10日に工事完了、第一予備艦となる。
8月31日、公試中に座礁する不運に見舞われたが傷は浅かった。そして9月18日に再就役し、第三艦隊第五〇航空戦隊に編入。
諸訓練を開始した。こうして千歳は航空母艦という新たな姿に生まれ変わった。空母化するにあたって改名が検討され、乗組員に
アンケートを取ってみたところ、圧倒的多数で「千歳のままが良い」という回答だった。千歳がどれだけ愛されていたかを示すエピソードである。

従来の水上機・甲標的格納甲板上に上下部格納庫と飛行甲板を設置し、飛行甲板は2組の支柱で支えている。飛行甲板の全長は180mで、
前後に1基ずつエレベーターを持つ。艦橋は先に就役した龍鳳と同型のものを採用。千歳型航空母艦には、タービンエンジンと
ディーゼルエンジンを同時に装備しているという他には無い特徴を持っている。これは元々高速給油艦での運用も想定していたからで、
燃費消費を抑える狙いがあった。しかし結果として機関の構造を複雑にしてしまっている。改装にあたって新たに排煙用煙道が必要になったので、
4本の煙道を右舷側に新設。機関室の排気は右舷中央の煙突から排出され、ディーゼル排気は右舷後部の小煙突から排出されるようになっている。
排煙がモロに当たる右舷煙突後方の対空機銃及び高角砲には、煤煙除けの盾が装備された。甲標的格納甲板を下部格納庫に流用したため
喫水線からの高さが僅か1mしかなく、防水区画を設けるなどして防水処理を徹底した。同時に復元性維持の目的で、両舷にバルジを装着。
千歳は改造空母の中では最高クラスの快速と艦載機を持ち、艦隊運用にも耐えうる貴重な艦であった。小型ながら航続距離も良好であり、
空母不足に悩む帝國海軍を支える優秀艦と言える。千代田と見間違えないよう、飛行甲板には「ちと」の文字が書かれた。
要目は排水量1万1900トン、出力5万6800馬力、速力29ノット、重油積載量2687トン、航続距離は18ノットで1万1810海里。兵装は
八九式12.7cm連装高角砲4基、九六式25mm三連装機銃10基、21号対空電探。艦載機は零戦21機(7機が露天係留)、九七式艦攻9機で
全てが常用機である。800kg爆弾36発、150kg爆弾72発、60kg爆弾180発、30kg爆弾144発を搭載可能。乗組員785名。二番艦千代田も
改装されているが、信号マストと無線マストの形状が違う特徴がある。

10月2日15時37分、第101号哨戒艇と合流。護衛として伴いながら、10月4日に横須賀へと入港。駆逐艦初霜や初春と合流し、
10月9日13時に横須賀を出港。翌10日16時に佐伯湾へと到着した。南鳥島への輸送任務に従事する予定だったが、11月1日22時に中止となった。
3日後、速やかに横須賀へ回航するよう命じられ、龍鳳とともに瀬戸内海西部へ移動。初霜、初春の護衛を受けて横須賀に
向かおうとしたが、11月6日午前10時30分に九州南部の火崎沖で浮上中の敵潜水艦2隻発見との報が入る。ちょうど航路付近での敵潜出現だったため
回航中止となり、呉へと移動。11月8日に入港した。

入港前日の11月7日、連合艦隊電令作第789号により新たな輸送任務が発令。駆逐艦秋月と谷風を率いて岩国に回航。現地で翔鶴、島風、
玉波と合流し、11月26日午前6時に出発。翔鶴のトラック進出を援護した。12月1日、トラック入港。帰り道は給糧艦伊良湖や駆逐艦天津風、
雪風とともに出港し、12月14日帰投。翌15日に瑞鳳型空母へ類別変更された。内地に戻った千歳であったが、12月16日に次の任務が舞い込む。
海上護衛総司令部機密第161339番電により、千歳、雪風、天津風の3隻はマーシャル方面へ緊急防備兵器資材を運ぶ輸送船団の護衛を命じられた。
　

1944年1月1日、正式に工事完了。1月11日、天津風、雪風とともに門司港へ回航。シンガポール行きのヒ31船団(輸送船4隻)の護衛についた。
このヒ31船団は護衛に初めて軽空母と駆逐隊がついた、画期的な護衛体制となっていた。このため船団は門司からシンガポールに向かって直進する
大胆な航路を選択。敵潜水艦が跳梁跋扈する危険な海域を突破しようと試みた。輸送船4隻が単縦陣を組み、その前方に千歳、右側に天津風、
左側に雪風が配置された。千歳から飛び立った九七式艦攻が睨みを利かし、周囲に潜む敵潜を威圧。その甲斐あって敵に雷撃される事無く、
南シナ海に突入した。

しかし1月16日夕刻、九七式艦攻が使えなくなる日没後を狙って怪魚が双眸を光らせた。マニラの西方に差し掛かった頃、駆逐艦天津風が
10km先に浮上している敵潜水艦を発見。その正体は潜水艦レッドフィンであった。千歳から敵潜の制圧を命じられたため、天津風は速力を上げて
迎撃に向かった。しかしそれは敵の罠だった。潜航したレッドフィンから雷撃され、19時55分に無惨にも大破させられてしまった。千歳と
雪風は船団護衛の任があるため、救助に向かえない。天津風は航行不能となり、闇夜の中へと消えていった。天津風が全ての悪霊を
引き受けてくれたからか、1月20日にシンガポールへ無事入港。帰路はヒ32船団を護衛し、25日に出港した。航海中の2月1日に千代田、瑞鳳、
第653航空隊からなる第三艦隊第三航空戦隊に転属。2月4日、佐世保に入港した。

第一航空艦隊のサイパン進出に協力すべく、横須賀に回航。駆逐艦初霜や雪風と会同。徳島で第261及び第761航空隊の人員と機材を積載し、
サイパンに向けて2月19日に出発した。道中でウルシー環礁に立ち寄っているが、日本の大型艦でウルシーに寄港したのは千歳ただ1隻である。
敵の哨戒圏を突破して2月26日にサイパンへ入港。積荷を降ろして29日に出発し、3月4日に横須賀へ帰投した。不利になる戦況の中で、千歳は献身的に
目の前の任務をこなしていった。

輸送任務を終えた後は、瀬戸内海西部にて訓練に従事。また対空兵装の強化が施され、25mm三連装機銃10基と25mm単装機銃17基を増設。
5月11日、あ号作戦発令に伴って第二、第三航空戦隊と戦艦武蔵、第四駆逐隊、その他駆逐艦4隻は佐伯を出発。中城湾を経由して、5月16日に
タウイタウイ泊地へと進出した。他の航空戦隊や艦艇も続々と集結し、5月19日には艦艇の集結を完了した。しかし第二、第三航空戦隊は
マリアナ方面の輸送に協力していたため訓練が遅れ、整備員も搭乗員も技量未熟であった。少しでも技量不足を補うため、5月22日午前3時に
泊地を出港。訓練を実施していたが、突然事件は起こった。

5月23日午前9時12分、侵入してきた敵潜水艦パファーが訓練中の艦隊を発見。発着艦訓練中の千歳の後方4000mから6本の雷跡が伸びてきた。
1本は千歳の艦首をかすめて通過、残り5本は見当外れの場所をすり抜けていった(2本命中するも不発弾だった説も)。護衛の駆逐艦がパファーを
追い払ったものの、千歳は訓練半ばで泊地に逃げ込んだ。タウイタウイ泊地の近海には米潜水艦がウヨウヨ跋扈しており、このように訓練を
大いに妨げていた。対潜掃討に向かった駆逐艦は次々に撃沈され、やがて泊地外での訓練は不可能になってしまった。6月8日、北上丸から
生糧品の補給を受ける。

あ号作戦決戦準備発令に伴い6月13日午前9時、旗艦大鳳に率いられ出撃。前進拠点のギマラス泊地へと向かった。千歳が所属する第三航空戦隊は
戦艦部隊とともに本隊の前衛に展開。千代田、瑞鳳と肩を並べて勇躍波を蹴った。空母9隻と艦載機450機を有する小沢艦隊は、圧倒的優勢を誇る
アメリカ機動部隊に一大決戦を挑もうとしていた。午後になると天候が悪化したが、予想された敵潜水艦の襲撃も無く、6月14日にギマラス到着。
17時より燃料補給が開始された。6月15日午前8時、ギマラスを出港。同日、サイパン島に来襲したアメリカ軍の群れを蹴散らすべく絶望の海を漕ぎ出した。
サンベルナルジノ海峡を突破し、太平洋へと進出。翌16日、ビアク島救援に割かれていた渾部隊が合流し、戦艦大和や武蔵等が艦隊に加わった。
　

6月19日、マリアナ沖海戦が生起。小沢艦隊はミッドウェーの戦訓をしっかり活かし、索敵を徹底。見事敵艦隊を捕捉した。対する敵は索敵に失敗し、
小沢艦隊の正確な位置すら掴めていなかった。午前7時25分、第三航空戦隊は他の空母に先立って64機(爆戦43機、天山7機、零戦14機)からなる
第一次攻撃隊を発進させた。この攻撃隊は敵艦隊(7イ)の上空まで到達し、突撃陣形を作るために編隊を組み直していた。ところが午前9時35分、
空を埋め尽くすF6Fの大群に襲われ、一方的な虐殺劇となった。急ぎ戦爆隊は空母へ、零戦隊は勇敢にF6Fに挑みかかった。戦爆隊は敵艦隊に突撃したが、
VT信管搭載の高角砲弾によって無常にも粉砕されてしまう。それでも死力を尽くし、ミネアポリスに至近弾を、戦艦サウスダコタに1発の命中弾を浴びせて
一矢報いた。その代償に戦爆31機、天山2機、零戦8機を喪失。第三航空戦隊は90機中41機を失うという大損害をこうむってしまった。
だが零戦隊もただでやられた訳ではなく、空戦で6機(1機不確実)を撃墜している。千歳、千代田、瑞鳳の3隻は、帰投してくる攻撃隊が真っ先に
辿り着く母艦なので、各艦は航空機の収容作業に追われた。損傷や燃料切れで空中待機が出来ない機は駆逐艦の近くに不時着水していった。
収容作業に忙殺されていたので、第三航空戦隊は攻撃隊発進の機会を逸した。帰投した第一次攻撃隊を再編成し、19機を発進させようとしたが、
結局出撃する事は無かった。

13時40分、千歳から索敵機が発進。一番機が浮上中の潜水艦を発見し、撃退。その頃、第三航空戦隊の後方に控える本隊では旗艦大鳳と翔鶴を
喪失するという目を覆いたくなるような惨状が発生していた。小沢治三郎中将は旗艦を羽黒に移し、一旦西方へと退避した。17時45分、臨時旗艦羽黒より
現有戦力を問い合わせる電報が第三航空戦隊に入った。

6月20日早朝、小沢艦隊は一箇所に集結。午前7時までには補給部隊も合流し、燃料補給を開始した。午前7時32分、索敵機を放って近海を警戒。
正午以降も索敵機を出し続けた。15時20分、敵の哨戒機らしきものが触接を開始。小沢中将は全航空機に攻撃を下令し、千歳も発艦準備に取り掛かった。
夕刻16時15分、敵艦上機群20機が東方約200海里の地点を西進中との一報が小沢艦隊を駆け巡った。ついに敵の逆襲が始まったのである。しかしまだ
補給作業は終わっておらず、油槽船は艦隊と同行している状態だった。そして17時30分、200機に及ぶ敵機の大群が小沢艦隊を捕捉したのだった。

第三航空戦隊の上空にはたまたま戦爆12機、天山2機、零戦4機が空中待機しており、迅速に迎撃が行えた。だが多勢に無勢、数の暴力で
航空隊は蹂躙され、戦爆7機、零戦1機が撃墜。零戦3機が大破してしまった。次に敵機の大群は空母に襲い掛かった。高々と築かれる水柱、無数に
撃ち込まれる機銃弾が千歳に狂気のワルツを躍らせる。右へ左へ船体をよじり、決死の回避を続ける。姉妹艦の千代田に爆弾が直撃し、飛行甲板が
メチャクチャにされた。対空砲で敵機を捌きながら、永遠のように感じられる1時間の空襲を耐え抜いた。千歳は無傷でこの地獄を乗り切ったものの、
飛鷹、玄洋丸、清洋丸が撃沈されてしまった。戦果はF6Fグラマン2機、TBF9機撃墜であった。大型空母3隻と400機以上の航空機、700名の搭乗員を失い、
小沢艦隊は事実上戦闘能力を失った。小沢中将は戦力の建て直しを図るため、沖縄の中城湾へと舳先を向けた。

6月21日朝。この日は晴れ渡っていた。敵は食い足りないと言わんばかりに追っ手を放っており、小沢艦隊の最後尾に触接機がしつこくまとわりついていた。
千歳が後方650kmに索敵機を放ってみたところ、追手と思われる敵の艦上機1機が確認された。通信傍受の結果、追手は敵空母バンカーヒルと特定された。
小沢艦隊は速度を上げて敵機を振り切り、今度こそ敵の魔手から脱した。翌22日15時、中城湾に入港。ここで負傷者の移乗や燃料補給を行い、
6月23日午前11時に出港。空母は瀬戸内海西部へ帰投するよう命じられ、荒天の玄界灘を突破して柱島泊地へ帰投した。

千歳が帰投した6月24日、敵艦載機約60機が硫黄島に襲来した。現地の航空隊が激しく抵抗したが、この出来事は海軍部を大きく動揺させた。
「これはアメリカ軍の硫黄島攻略の前触れではないのか？」「サイパンより硫黄島防衛の方が先決だぞ」との声が上がるほどだった。
7月3日に再度空襲があり、翌4日には硫黄島への艦砲射撃まで行われた。アメリカ軍の硫黄島襲来は近いと第二艦隊は慌てて出撃準備を整えたが、
敵としては今回の攻撃はただの威力偵察であった。7月5日以降は全く攻撃が無くなり、索敵機も敵を発見できなかった。危機は去った。
だが、いざという時に空母が使えないのはまずいと海軍部は考え、千歳、千代田、瑞鳳の3隻を迎撃用空母に指定。手元に置いておく事にし、
しばらく内地待機となった。

マリアナ沖海戦の戦訓から各空母には「対空兵装の強化」「ガソリン庫の防御強化」「可燃物の撤去」「電探の装備」などが施された。
千歳にも例外なく対策が行われ、まず原則リノリウムを廃止。油性塗料は全て剥離され、アートメタルペイントに変更し、私物は殆ど撤去された。
対空兵装として新たに28連装噴進砲(ロサ砲)を装備している他、25mm単装機銃の増備が行われている。

7月31日、再編成が行われた。訓練済みの瑞鶴と龍鳳を錬度不足の第三、第四航空戦隊に回す事になり、8月15日に瑞鶴が仲間に加わった。
壊滅した機動部隊を再建するため、内地でひたすら訓練を続けた。9月19日、伊予灘で流木に接触しスクリューを損傷している。

10月1日13時、呉工廠に入渠。不要物の陸揚げ、左舷推進器換装、短波方位測定儀の新設を行い、10月7日に出渠。丁錨地に移動し、配置教育に勤しむ。
同月11日、噴進砲の弾薬、食糧品、酒保物品、被服、生糧品を積載。戦備を整えた。
　

10月17日、マッカーサー率いる大軍がレイテ湾に襲来。同時にキンケイド艦隊も出現し、敵のフィリピン侵攻が開始された。危急の報を受け、
千歳と瑞鳳は午前8時に八島錨地を出発。13時に徳山へ入港し、燃料補給を行った。5時間後、徳山を出発。23時に大分へと寄港した。
翌18日夕刻、大本営は捷一号作戦を発令。内地や南方に残っていた艦艇をかき集め、死力を以って敵を撃滅する覚悟を掲げた。内地にいた千歳にも
参集の命が下り、先のマリアナ沖海戦で采配を振るった小沢治三郎中将の指揮下に入る。攻撃目標のレイテ湾には既に大量のアメリカ軍が
手ぐすね引いて待ち構えており、航空支援が無いまま突っ込めば間違いなく食い殺されてしまうだろう。だが日本に最早機動部隊を
再建できるだけの力は無かった。そこで生き残っていた空母4隻(千歳、千代田、瑞鶴、瑞鳳)を小沢艦隊に編入し、囮として運用しようと考えた。
載せる航空機が無くなった空母の、悲惨な末路であった。一応、4隻合わせて108機の航空機を搭載しているが、圧倒的物量を誇る敵の前では無力だった。
この戦いは決して生きて帰る事が出来ない、最期の戦いであった。

10月19日、呉からやってきた油槽船から最後の燃料補給を受ける。夕刻までに全艦が出撃準備を整え、死出の旅に備えた。13時、小沢中将は旗艦瑞鶴に
各指揮官を集め、打ち合わせを行った。

10月20日午前7時、大分航空隊の零戦8機、爆装零戦4機、天山6機の合計18機を搭載。空母での発着艦技能を持っている搭乗員が不足していたため、
定数を満たす事は出来なかった。18時、旗艦瑞鶴に率いられ豊後水道を出発。伴走者は空母瑞鳳、千代田、戦艦伊勢、日向、
軽巡大淀、多摩、五十鈴、駆逐艦秋月、初月、若月、霜月、桑、槙、杉、桐であった。もう二度と見る事は叶わない祖国の情景を背にしながら、決死の覚悟を胸に外洋へと踊り出た。
翌21日午前9時、二ヶ所に浮上中の潜水艦を発見。片方は味方だと判明したが、もう片方は敵味方の区別が出来なかった。30分後、千歳は浮遊機雷を発見。
伊勢と日向に注意を促した。午後12時2分、瑞鶴が米潜水艦の雷撃を受ける。15時頃、千歳が天山2機を発進させ、制圧を試みた。
この時、エンジン不調で1機が墜落。搭乗員は救助されたが、不吉な予兆を感じさせた。片方の天山は対潜哨戒を行い、17時頃に帰投した。
しかし敵の執拗な触接は日没後も続き、複数の潜水艦にまとわりつかれながら、小沢艦隊は南西へと進み続けた。

10月22日午前11時頃、千歳から飛び立った2機の索敵機が行方不明になる。1機は瑞鶴に着艦していた事が判明したが、もう1機は沖大東島に
不時着していたという。14時頃、五十鈴に燃料補給を実施。19時30分以降、第一警戒航行序列に移行。

10月24日午前6時、小沢艦隊は予定地点に到着。午前11時45分、旗艦瑞鶴にZ旗を掲げ、4隻の空母から76機の攻撃隊が出撃した。
これが日本海軍史上最後の攻撃隊で、攻撃後は母艦ではなくフィリピンの陸上基地に降りる予定だった。空母と一緒に死ぬ事は無い、という
小沢中将の優しさであった。しかし攻撃隊はグラマンの群れに迎撃され、僅か3機のみが母艦に戻ってきた。15時50分、敵触接機出現。
千歳に向けて急降下爆撃の姿勢を取ったため対空射撃を行い、追い払った。17時、燃料不足の桐が高雄に後退。通信傍受の結果、触接した敵機は
一番北方にいるシャーマン隊に位置情報を通報している事が分かった。敵は来る、確実に。囮の役割は見事果たされたのだった。
　

10月25日早朝、小沢艦隊は対空戦闘の準備に取り掛かっていた。間もなく敵機がやってくる。栗田艦隊の突入を容易なものにするため、
少しでも多くの敵機を釣り上げなければならない。小沢中将は直掩戦闘機18機を残し、稼動可能な機体を全てニコルス飛行場へと向かわせた。
もちろん、搭乗員の命を気遣っての行動である。午前6時15分、千歳から1機の戦爆が発艦。ニコルス飛行場へと飛び去っていった。
午前6時49分、第四警戒航行序列に移行。午前7時13分、もっとも南にいた日向が270度方向170kmに2機の敵索敵機を捕捉。各艦ただちに
対空戦闘が発せられ、午前7時17分には瑞鶴と千代田から零戦7機が発進。上空を旋回し始めた。午前7時32分、小沢中将は
連合艦隊司令部及び関係各所に「機動部隊本隊、敵艦上機の触接を受けつつあり」と打電した。

午前8時、千歳艦内に総員配置の号令が下る。8分後、敵機の大群が迫ってきた。瑞鶴と千歳から零戦11機が出撃し、計18機の零戦が展開。
千歳の電探が迫り来る敵機を探知。空を覆いつくすほどの大規模な敵編隊が、千歳たちを殺さんとエンジン音をかき立てている。大漁だ。
最期の戦いが、始まった。
　

午前8時15分、第一次空襲開始。170機の敵機が小沢艦隊を嬲り始める。左120度高角10度に敵編隊を発見し、対空戦闘開始。速力24ノットに増速する。
平穏な海は一瞬にして戦場に転じる。色とりどりの曳光弾や着色弾が破裂し、海を異色に染めていく。千歳はジグザク運動をしながら爆弾と魚雷を回避。
だが、どこを向いても敵！敵！敵！逃げられる場所など何処にも無かった。敵機の狙いは空母だけだった。他の駆逐艦や巡洋艦には目もくれず
次々に殺到する。そして、真っ先に死神に組み付かれたのは千歳だった。

午前8時22分、敵機50機が千歳に接近。2分後に対空射撃を開始するが、お構いなしに敵機は突っ込んでくる。まるで矢のように一直線に。
午前8時27分、右150度より10機が千歳目掛けて急降下投弾。左舷高角砲射撃指揮装置と左舷後方噴進砲群にそれぞれ1発が命中。大火災が発生する。
敵弾は全て遅動性になっており、装甲を貫いてから炸裂するという悪質なものだった。ただ艦内で爆発する性質上、飛行甲板上にいた人員は全くの
無傷であった。午前8時34分、右舷からも敵機が殺到。飛行甲板後部のエレベーターに1発が直撃。格納庫内で炸裂して浸水発生。両舷に無数の至近弾も
浴びせられ、一瞬にして大破させられてしまう。艦内は一酸化炭素で充満し、少なからず応急処置に悪影響を与えている。

左右から艦爆10機が接近。満身創痍の千歳に容赦なく襲い掛かる。左舷の噴進砲群に直撃弾を受け、弾薬が引火爆発。更に3発の爆弾を左舷に喰らい、
艦は左へ7度傾斜。左側機関室が満水となって速力が低下する。タービンとディーゼルの併用機関だった事が幸いし、かろうじて14ノットが
発揮可能だった。午前8時45分、4機の敵機が右80度より機銃掃射。傾斜はみるみるうちに深くなり、5分後には20度になった。

第一次攻撃は30分で終わり、敵機は引き上げていった。だが深手を負った千歳は虫の息で、海に浮かぶ鉄塊状態だった。午前8時52分に対空戦闘を終了。
艦内の被害状況の調査を行う。午前9時10分、傾斜は26度に達して右舷後部主機が停止。5分後にはついに航行不能に陥り、漂流状態となる。
もはや沈没は避けられない状態となり、乗組員は右舷へ移動。機密図書や暗号書を処分し、御真影を補助艦橋へ移した。

午前9時30分、傾斜は30度に達し、艦長の岸良幸大佐は総員退艦を命じた。千歳は左に傾いたまま艦尾より沈み始め、絶望の海へと引きずり込まれていった。
五十鈴が救助活動を行おうとしたが瑞鶴からの命令で多摩の護衛に赴くことになり、半ばで去っていった。代わりに駆逐艦霜月が現れ、生存者を救出。
艦長以下468名が戦死、494名が救助された。時に1944年10月25日午前9時37分。ルソン島東方200海里の太平洋上で沈没。開戦劈頭から戦い続けてきた
歴戦の勇士は、血を流して息絶えた。命を引き換えに任務を果たして…。

五十鈴に救助された者は、戦闘員補充の命あるまで艦内待機を命じられた。幸運にも霜月も五十鈴も地獄を生き延び、海戦後の奄美大島で
伊勢及び日向に収容。内地まで移送され、大竹海兵団に引き取られた。

囮となった空母は全て壮絶な最期を遂げ、空母が無くなった第三航空戦隊は11月15日に解隊。12月20日に千歳自身も除籍された。
　

1978年、艦内神社だった水天宮に軍艦千歳慰霊碑が建立。遺族や元乗組員が中心となって毎年10月25日に慰霊祭を行っている。

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