Z35

• ドイツ海軍が建造した1936年B型駆逐艦。建造までにちょっとしたイザコザがあり、1939年6月28日にデシマーグ社へ発注された時は1936年B型になる予定だった。しかし途中で契約が破棄となり、1936年A型に変更。ところが1941年2月17日に結局1936年B型に戻された。ヤード番号W1005を与えられ、6月6日にブレーメン造船所で起工。1942年10月6日に進水し、1943年9月22日に竣工した。
• 1944年2月、第6駆逐戦隊に編入。最初の任務であるフィンランド湾の機雷敷設を行うべく、2月13日にレヴァルへ進出。駆逐艦3隻や魚雷艇1隻と行動を共にする。湾の東岸にいるソ連軍を砲撃しつつ、3月12日にナルバ湾へ初の機雷敷設を行った。ソ連軍の本格的な反攻に備え、4月にはフィンランド湾の防御機雷を増強している。6月28日、リュッツォウをZ36と護衛してゴーテンハーフェンを出撃。ウトー島近海へ進出した。同盟国のフィンランドがソ連軍の侵攻を受けており、降伏する可能性が出てきていた。もしフィンランドが降伏した時に備え、ソ連軍よりも先にスールサーリ島を占領する「タンネ・オスト作戦」の準備のためであったが、フィンランドが徹底抗戦の意志を示したので作戦は中止。7月8日に帰港した。
• 7月30日、Z36や駆逐艦2隻とともに出港し、リガ湾に進出。押し寄せてくるソ連軍に向けて艦砲射撃を加えた。途中から重巡洋艦プリンツ・オイゲンも参加し、8月5日にリトアニアのオーセル島を砲撃。続いて8月19日から翌20日にかけてラトビアのソ連軍を砲撃した。砲撃任務を終えた後、暗礁によりスクリューを破損。急遽ゴーテンハーフェンで修理を受ける羽目になった。9月、フィンランドを脱出する船団の護衛任務に従事。次にレヴァルから出発する輸送船団を護衛した。10月10日より艦砲射撃任務を再開。プリンツ・オイゲンとリュッツォウを護衛しつつサーレマー島、メーメル、リバウ、スヴォーブのソ連軍陣地を砲撃。ドイツ陸軍と難民が撤退する時間を稼いだ。しかし10月23日、突如として第3砲塔が爆発事故を起こし、乗員1名が負傷。更にソ連軍機から空襲を受け、爆弾の破片を浴びた。11月20日から24日にかけて重巡アドミラル・ヒッパーやアドミラル・シェーアと共にスヴォルベ半島北部のソ連軍を砲撃。孤立した友軍を撤退させる事に成功し、ソ連軍が南端に到達した時には既に誰もいなかった。
  　
• 12月11日朝、エストニア沿岸に新たな機雷原を設ける任務を受けて出発。Z36、Z43、水雷艇T23、T28が同行した。時間の経過とともに天候が悪化し始め、高い波と強雨が円滑な航行を阻害する。翌12日午前1時52分、かすかな爆発音が聞こえた。僚艦のZ36が触雷した音だった。実はZ35一行は悪天候の影響で航路を誤り、知らず知らずのうちに機雷原へ突入していた。午前2時頃、Z35も触雷。ボイラー室と弾薬が爆発し、あっと言う間に沈没。生存者は70名だけだった。

基準排水量：2519ｔ
機関出力：70000馬力
最大速力：36.5ノット
搭載兵装：128mmSKC/34単装砲　5基4門
　　　　　533mm四連装魚雷発射管　2基8門（積載魚雷16本）
　　　　　37mmSKC/30連装機銃　2基4門（1944年9月以降10門に増強）
　　　　　20mmFlakC/38単装機銃　3基3門
　　　　　爆雷投射機　4基
　　　　　機雷　74～76発

1936B型駆逐艦は就役したドイツの駆逐艦としては最後の艦型となる。

Z35型駆逐艦は最初は1936型の追加艦として発注されたが、途中で1938B型*2に設計変更された。しかし第二次大戦が勃発したことにより1938B型の建造は中止、Z35型は1936A型に再度設計変更となった。だが1936A型は主砲である150mm連装砲の運用に難を抱えていたため、装備を128mm単装砲に戻し、対空設備を増強させた1936型の改良型として1936B型を新たに設計、最終的にこの型で建造されることになる。
機関の故障や運用上の欠陥といったものはそれまでの型に比べれば少ない方だったらしいが、対空の不足を感じていたらしく、1936B型を基に両用砲を主砲に採用する1936C型が設計されることになる。

1941年から1942年にかけてブレーメン、キーウで8隻が発注、計画変更などにより5隻が起工し、完成したのは3隻のみとなる。そのため欠番が多い。特に戦争末期だったのでZ44、Z45なんかは建造の優先順位を下げられたうえ、Z39の修理のために部品を取られる*3などといった有様だった。

• Z35（1943年9月22日就役）
• Z36（1944年2月19日就役）
• Z37～Z39（1936A(Mob)型として就役）
• Z40～Z42（SP級偵察巡洋艦に設計変更の後、建造中止）
• Z43（1944年5月31日就役）
• Z44（1944年1月20日進水の後、同年7月29日空襲で沈没）
• Z45（1943年9月1日起工の後、進水することなく1946年解体）

末尾の番号が若いほど、古いログになります。

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