アクィラ

※ストーリーは、図鑑→思い出より確認可能

※ストーリーは、図鑑→思い出より確認可能

客船時代

• 1924年11月30日、イタリア北西部の港湾都市ジェノヴァのアンサルド造船所にて起工。大西洋航路の覇者である英仏独に追いつくため、Navigazione Generale Italiana(NGI)社は2隻の豪華客船の建造に着手。それぞれローマ、アウグストゥスと名付けられた。
  • 第一次世界大戦勃発に伴う資材不足により進水後建造停止となった戦艦フランチェスコ・カラッチョロには、アンサルド社による空母改装案とNGI社による客船改装案が存在した。2番艦クリストーフォロ・コロンボもアンサルド社で建造されていたが未進水のまま建造停止となり、機関や部品を客船ローマの建造に流用する事で極力建造費を抑えることに成功する。建造にはジェノヴァの造船技術の粋を集め、数多くの芸術家達によって内装を豪華なものに仕上げた。
    　
• 1926年2月26日に極寒の中で進水式を挙行し、9月21日に竣工。9月26日に処女航海を行った。第一次世界大戦後に建造された最初の豪華客船であり、最速・最大を売り文句にしていた。ローマとアウグストゥスの一大建造プロジェクトはジェノヴァの技術を国際レベルにまで引き上げ、両船はNGIのフラグシップとして活躍した。

• イタリア・アメリカ間の大西洋航路に就役し、地中海クルーズ、カリブ海クルーズ、バミューダへのショートクルーズなどのクルーズ事業も行っており、ロータリー国際大会のチャーター船としても用いられている。これらのクルーズはクリスマスクルーズ(ニューイヤークルーズ)やデコレーションデークルーズとしても売り出され人気を博していた。
  　
• クルーズの寄港地例
  • 1933年7月1日-8月22日の地中海クルーズは、ニューヨーク、マデイラ、ジブラルタル、マラガ、ヴィルフランシュ、ジェノヴァ、ナポリ、タオルミーナ、ベイルート、ハイファ、ポートサイド、ロードス、チャナク、イスタンブール、オデッサ、ヤルタ、イスタンブール、アテネ、コトル湾、ラグーザ、ヴェネツィア、ナポリ、カンヌ、ジブラルタル、ニューヨーク
  • 1939年7月15日-7月28日のバミューダへのショートクルーズは、ニューヨーク、バーハーバー、ケベック、サグネ、ガスペ、バミューダ、ニューヨーク
  • 1939年9月16日-9月29日のカリブ海のショートクルーズは、ニューヨーク、ハイチ、キングストン、パナマ運河、ハバナ、ニューヨーク
    　
• 数多くの星型の照明が吊るされた初期ヴェネツィア・ルネッサンス調の大ホール"Aula Magna"には、杖を持った女神ローマ像"Roma Eterna"が飾られていた。この像はポスターやパンフレットに用いられており、客船ローマを象徴する存在であった。ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂の女神像と同じくアンジェロ・ザネッリの作品で、現在はStazione marittima di Genovaに飾られ現存している。
  　
• 内装を担当したVittorio Ducrotは、建築家のErnesto Basileや画家のGalileo Chiniなど様々な芸術家と共に大ホールやボールルーム、ダイニングルームなどを作り上げている。Ducrot社はイタリア各地の高級ホテルや劇場の内装を担当している。
  • Queen's Orders第129話でアクィラが入浴していた温泉地モンテカティーニ・テルメには、Galileo Chiniが内装を手掛けた建造物が幾つも残されている。それらの建造物は現在も観光客を呼んでおり、市は彼を偲び彼に感謝するため、発表100年を記念して絵画の代表作"Primavera Classica"の展示を行った。彼の内装の作品はパルマのサルソマッジョーレ・テルメや旧グランドホテル、バンコクのアナンタサマーコム殿などで見ることができる。
    　
• その他には子供用ダイニングルーム、ウィンターガーデン、ライティングルーム付き図書館、喫煙室＆バー、観光案内所、銀行、売店、理容室＆美容室＆ネイルサロンなどがあり、オーケストラによるコンサートやミュージカル、ボールルームや甲板でのダンスパーティ、映画上映などが行われていた。フェンシング教室、ウォーターカーニバル、コスチュームパーティ、トレジャーハントなどのアクティビティも楽しむことができた。
  　
• テニス、バトミントン、シャッフルボード、ボクシング、フェンシング、射撃、ダンスなど様々なスポーツを楽しむことができた。初めてデッキにプールを設置した客船で、リドデッキの名称と共に現代ではスタンダードな設備になっている。
  　
• 船内の食事は豊富な種類から選ぶことができ、バーではイタリア各地のワインやカクテルなどが提供されており、"ローマ"の名がついたカクテルも提供されていた。メニューの表紙には毎回異なるイラストが掲載されており、グッチを代表するフローラのモチーフをデザインしたヴィットリオ・アッコルネロなど様々な画家が担当していた。客船ローマの料理は本場のイタリア料理としてニューヨークの新聞記事にレシピが掲載されることもあった。
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  1938年のランチの例

  5種類の食前酒、11種類のオードブル、6種類のスープ、3種類の主食、5種類の卵料理、3種類の魚料理、4種類のアントレ、6種類のグリル料理、5種類のポテト料理、3種類の野菜、11種類のコールドビュッフェ(6種類のソース)、7種類の野菜から選ぶサラダ(6種類のドレッシング)、6種類のデザート、3種類のアイスから選ぶことができた。他にも10種類のフルーツ、11種類のジャム、7種類のチーズ、コーヒーや紅茶、緑茶、ハーブティなど20種類近くの飲み物から選ぶことができた。

　
主な出来事

• 1926年12月21日、大西洋中央部で発生した猛烈な嵐の中での救助を成し遂げ、輸送船ガルネリの生存者26名を乗せた客船ローマがジェノヴァ港に到着する。17日の朝、3000トンの大理石をリオデジャネイロに運んでいた輸送船ガルネリが150マイル離れた位置でマストを失い沈没しかけているという無線を受け取る。正午、船内に水が溜まってしまい船を放棄することが伝えられる。夜11時、濃霧の中でローマはガルネリのフレアを発見し、両船の距離が2マイルに縮まる。Desposito船長は志願者を募り、ほぼ全乗組員がこれに応じた。選ばれた13名が救命ボートNo.13に乗り込み、迷信に囚われず出発した。暴風雨と荒れ狂う海のため、救命ボートがローマから離れるまで3時間近くかかった。何度も船がひっくり返りそうになり、3度目の挑戦でようやく乗組員を救助することに成功する。一人の命も失わず救助に成功した時には大きな歓声が上がり、救命ボートの乗組員に報いるための基金として乗客から1500ドルの募金が集まり、彼らにも銅メダルが授与されることになった。
  　
• 1927年、アメリカで解剖学を学び足を痛めない靴を開発し、多くのハリウッドスターの靴を制作したサルヴァトーレ・フェラガモが、客船ローマに乗船しイタリアに帰国する。帰国後サルヴァトーレ・フェラガモ社を設立する。2017年に創業90周年を迎え開かれた「イタリアへの帰還展」ではロゴ等のモチーフに用いられ、客船ローマの模型やパンフレット等が展示された。
  　
• 1928年3月9日、当時の価格で合計10万ドル相当(現在の価格で約150万ドル)の金塊が入った樽の積み込み作業中、貨物網が破れハドソン川に落としてしまう。2つの樽のうち片方は翌日に引き揚げられたが、川底の視界が悪く難航していた。川底の捜索を断念した時、海底作業員により柔らかい川底に埋まっているのではないかという意見が出され、巨大な浚渫船が使用されることになった。その結果、12日にもう片方の樽も無事に引き揚げることができた。
  　
• 1932年1月2日、世界恐慌の影響に対抗するためジェノヴァのNGI社、トリノのLloyd Sabaudo社、トリエステのCosulich Line社が合併し、イタリアンライン社(正式名称Italia Flotte Riunite)となる。国有化に伴い、社長の座は後にドゥーカ・デッリ・アブルッツィの名にもなったアブルッツィ公に委ねられた。所属を表す煙突のカラーリングをNGIの物からイタリアンラインの物へ変更する。合併とクルーズ事業の割合を増やすことによって世界恐慌に対抗する流れが各国で起こっている。新たに建造されたレックスとコンテ・ディ・サヴォイアが就役し、フラグシップの座を後輩に譲る。
  　
• 1932年1月30日、濃霧による港の渋滞が原因で客船ローマ(32,583GT)と客船プレジデント・ルーズベルト(13,869GT)の衝突事故が発生する。幸い両船に負傷者は出ず、喫水より上側の損傷だった。
  　
• 1934年5月、ローマでFIFAワールドカップの予選最終ラウンド、後にライバル対決となるアメリカ対メキシコの試合が行われる。メキシコ代表が乗った船は体を動かすことができず、慢心していたため太った状態で到着してしまう。一方、アメリカ代表は客船ローマで十分な運動をすることができ、4-2で勝利することになった。
  　
• 1934年6月、アルミを使用しない全ステンレス製の水上機、バッドBB-1パイオニアがヨーロッパ各地でデモ飛行を終え、客船ローマのデッキに乗せられアメリカに帰国する。イタリアの木製飛行機SM-56サヴォイア・マルセッティを元に設計されている。
  • 詳細確認ボイスについて。客船ローマには水上機用のカタパルトは装備されていなかったが、当時は郵便を少しでも速く到着させるために水上機を発艦させるカタパルトが装備されている客船が存在しており、客船にとって水上機は身近な存在であった。他にもジェノヴァ港には水上機用の空港が設置されていたため、客船から列車や水上機へと乗り換えることができた。このことはパンフレットにも記載されており、クルーズでのオプショナルツアー等に用いられていた。*3
    　
• 空母への改装は開戦前の1935年から検討され始めたが、エチオピア戦争が終結し白紙に戻る。
  　
• 1936年3月、船体のカラーリングを白一色に変更する。
  　
• 1937年1月2日、国有グループであるFinmare社に加わり、トリエステのLloyd Triestino社、ヴェネツィアのSocietàdi navigazione Adriatica社、ナポリのSocietàdi navigazione Tirrenia社と共にルートや雇用の調整と合理化が行われ、正式名称がItalia – Società di Navigazioneへと変わる。これにより客船ローマの近代化改装が決定し、FIAT社製の新型の機関への換装*4、客室やホールの再構築、煙突の一本化と空気力学的に優れた形状への変更、船尾や船首の形状の改良、現代的なエアインテークなどモダンな外観へと変わる大規模な改装計画が予定されていた。この近代化改装案は比較的アクィラに近い外観をしていた。1938年9月、建築家Gustavo Pulitzer Finaliが設立したトリエステのStuard社に内装のリノベーションを依頼し、彫刻家のMarcello Mascheriniは1939年にファーストクラスのホール用の巨大なレリーフを作成している。しかし、大西洋航路の交通量の増加により長期間の改装に入ることができずプロセスは延期されていた。
  　
• 1939年4月30日〜10月31日および1940年5月11日〜10月27日、ニューヨーク万国博覧会が開催され、万博に向かう旅行客に向けたプランやパンフレットが用意されていた。イタリアのパビリオンにはイタリアンライン社が運営するイタリアンレストランがあり、イタリア客船で提供されていた物と同じ本場のイタリア料理と各地のワインを楽しむことができた。ランチやディナーを提供するマーメイドルームの他に、サヴォイアバー、ゾディアックルーム、リドガーデンなどがあり、パビリオンの上部には女神ローマ像が建てられていた。*5
  　
• 1939年9月、第二次世界大戦の勃発により各国の客船はニューヨーク港で待機状態となってしまう。客船ローマは中立性を明確にするための対策を施し、18日間の休業の後に営業を再開する。
  　
• 1940年、戦争による脅威が増大し再び空母への改装案が持ち上がるが、政府は3ヶ月以内には戦争は終わるとの見込みにより却下する。5月、大西洋航路の増加する交通量に対応するため、客船レックス、客船コンテ・ディ・サヴォイア、客船アウグストゥスとともに四隻体制へと変更が行われる。5月25日、イタリア客船の運行スケジュールが次々に延期され、新聞ではイタリア参戦の可能性が高まったと予想される。客船の動きが完全に止まった6月10日、イタリアは第二次世界大戦に参戦。敵の強大な海軍に封鎖される前にイタリア領リビアのトリポリへ向かい、女性や子供700名を収容して本国に連れ帰った。開戦に伴ってジブラルタルが通行不能になり、客船としての活動が出来なくなったため以降は後方の港で停泊する日々を送る。
  　
• 1940年12月、最新の機関が積まれていたレックスとコンテ・ディ・サヴォイアの空母化改装案が持ち上がっていたが、両船ともイタリアンラインのフラグシップであったため海運当局の強い反対にあい廃案となる。
  　
• イタリア海軍は世界4位の海軍力だったが、イタリア半島そのものを不沈空母に見立てていたため空母建造が遅れていた。1940年6月10日に第二次世界大戦に参戦すると、ムッソリーニ総統はローマに飛行甲板を備えた簡易的な空母にする事を許可。その後、タラント空襲で敵空母の脅威を思い知り、1941年1月7日に本格的な空母に仕上げる事を決断する。ところが建造費が過剰に掛かる事からイタリア海軍に反対され、1月27日に一旦命令は取り消された。ノウハウが無いイタリア海軍にとって、空母は技術的にも手に余る存在だった。だが、3月27日に生起したマタパン岬沖海戦でエアカバーの無い艦隊がどうなるかを知り、海軍は空母の建造に意欲的となる。6月21日にローマの空母化に合意し、7月9日にイタリア政府も計画を承認。ようやく自前の空母を造ろうと動き始めた。海軍参謀長アルトゥーロ・リッカルディ大将によって具体的な建造計画が策定され、これに伴ってイタリア海軍は空母グラーフ・ツェッペリンを建造している同盟国ドイツに技術者を送っている。
  　

空母時代

• 1941年7月、イタリア海軍は空母改装の目的で客船ローマを買収。11月よりアンサルド社ジェノヴァ造船所で改装工事が開始された。戦艦ローマが就役したため、1942年3月にアクィラへ改名した。空母アクィラの船型は客船ローマの近代化改装案のものに近く、装甲、プリエーゼ式水雷防御、格納庫、飛行甲板、艦橋の装着が行われた。機関は建造中止となったカピターニ・ロマーニ級高速軽巡洋艦2隻から流用し、客船時代の速力22ノットから30ノットに上昇、艦隊に付随できるだけの速力を獲得した。ドイツより建造中止となったペーター・シュトラッサーのカタパルトやエレベーター等の艤装が贈られ、旧式の改装空母とは一線を画す存在となる。しかし制動索の開発と資材不足に悩まされ、工事の進捗は芳しくなかった。ジェノヴァは工業都市でもあったため敵軍の攻撃目標に定められた。1942年10月22日深夜にアブロランカスター112機が市街地を集中爆撃したのを皮切りに執拗な爆撃が始まり、11月には造船所を標的とした爆撃が2回あった(ジェノヴァへの爆撃は4回)。損傷を受けたアクィラは埠頭で放置されていた未完成軽巡コルネリオ・シッラの艦尾側に移動し、2隻を長い鉄板で繋いで埠頭の一部に見せかける偽装工作を行った。11月以降はしばらく爆撃が止まったため被害は無くなったが、この工作で更なる予定の遅延を招いてしまった。
  　
• 1943年3月、ドイツからグラーフ・ツェッペリンの建造に携わっていた技術者が到着し、発着艦についての助言を行う。同時にイタリア空軍から選出されたパイロットの育成を開始し、艦載機の選別も始まった。ドイツ人技術者が持ち込んだユンカース87CとアラドAr96による競合が行われたが、最終的にはイタリア製のレッジャーネRe2001を採用。Re2001は大変優れた機体で、ドイツ人技術者もメッサーシュミットBf109Tより優れていると評価した。制動索を用いた発着艦テストは全て陸上で行われた。8月にはエンジンとカタパルトのテストに成功。8月7日に敵の爆撃が再開されたものの、イタリア海軍が心血注いで建造していたアクィラは、あと少しで完成という所まで漕ぎ着けた。
  • 要目は排水量2万3130トン、全長235.5m、全幅30.1m、最大速力30ノット、出力15万1000馬力、重油積載量3600トン(航空燃料245.3トン)。艦載機はレッジャーネRe2001 OR戦闘爆撃機51機。隼鷹型に匹敵する大型商船改造空母であり、空母初挑戦のイタリアにしては会心の出来であった。レッジャーネ戦闘爆撃機は1機で戦闘も爆撃も雷撃も行える万能機であり、ゆえに艦載機が統一されている。艦載機全てに折り畳み翼を採用し、搭載数を66機に増やす計画もあったが、これは間に合わなかった。ちなみにパイロットの所属は空軍である。格納庫は一段式と手狭だが、露天係留で搭載機を増やす工夫を凝らしている。運用は航空機を使って敵艦隊を撃滅するような攻撃型ではなく、味方艦隊にエアカバーを提供する護衛空母的なものだった。余談だが、妹のアウグストゥスも空母に改装されているが、機関が蒸気タービンではなくディーゼルだった事から改装が難航。手の込んだアクィラの改装とは対照的に簡易な工事だけで済ませた。
    　
• ところが1943年9月8日、イタリアは降伏。この時のアクィラの完成度は約80％(90％、98％とも)であり、最初の静的試験に合格していた。降伏によりイタリア側は二つの勢力に分かれ、ジェノヴァからは連合軍側に合流する艦艇が続々と出発したが、アクィラはパルチザンの襲撃で主要部が破壊されたため同行できなかったとする説がある。本来の計画では9月以降に海上公試する予定だったが、連合軍のイタリア南部上陸に伴う混乱で頓挫。艦載機も支給されなかった。10月21日より一旦止まっていた爆撃が再開し、軍需工場や港湾を狙って爆弾を投下したが、狙いが逸れて市街地に落下したため難を逃れた。11月9日の爆撃では造船所が狙われて被害が出たが無事だった。1944年6月16日、ジェノヴァ空襲で雷撃を受けて損傷、資料によっては資材回収のため部分的な解体が始まったとしている。7月24日の航空攻撃では未完成軽巡コルネリオ・シッラが撃沈。9月4日の大空襲では港が徹底的に爆撃され、停泊中だった独伊の駆逐艦、魚雷艇、潜水艦、駆潜艇が多数撃沈という被害続出だったが、不思議と爆弾は命中しなかった。1945年1月7日、アメリカ陸軍航空軍第12空軍所属のサンダーボルトの2つの大きな爆弾による空爆が行われたが大きな損傷には至らなかった。
  　
• 1945年4月19日、アクィラによるジェノヴァ港の閉塞を防ぐためイタリア共同交戦海軍が海中から爆破を試みる。船底が海草などで覆われていたため、爆弾を直接設置することができず海底に設置するが、プリエーゼ式水中防御隔壁が機能し大きな損傷には至らなかった。その後ドイツ軍が爆薬やキングストン弁による着底を試みたが、前者はイタリア人に妨害され、後者はキングストン弁の位置が分からなかったため失敗。そもそも浅い港内では閉塞船として沈めてもすぐに引き揚げられる可能性があったので、4月24日に港内の細い通路を塞ぐ位置へと移動させ、水上に浮いた状態で終戦を迎える。
  　
• 戦後の1946年に埠頭へと移動させ、修復して完成させるか客船へと再改装を行うか検討される。戦争によりイタリア側の客船は全て失われており、平和条約により10年間、ニューヨーク航路の定期船を新たに建造することを禁止されていた*6。アルチーデ・デ・ガスペリ首相がトルーマン大統領にアメリカに接収されたイタリア客船4隻の返還を要請した結果、翌年夏には4隻全てがイタリアへと返還される。修復と客船への再改装はコストが掛かりすぎるため断念され、1949年にラ・スペツィアへ回航される。戦艦イタリア(リットリオ)とヴィットリオ・ヴェネト共に港で解体を待ち、1952年に解体された。解体時に取り外された64mm単装高角砲はラ・スペツィア海軍技術博物館に寄贈され、現存している。そしてイタリア海軍の空母の就役は、1985年のジュゼッペ・ガリバルディを待つこととなる。

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